
GUIDE / 器を知る
ファイヤーキングとは?
その魅力と歴史、刻印の見方から、お手入れまで。
ヴィンテージの器を知り、楽しむためのガイド。
ファイヤーキングとは?
ファイヤーキングはアメリカ・オハイオ州のガラス製造メーカー、アンカーホッキング社の耐熱ガラスブランドです。
1941年に誕生したファイヤーキング。第二次世界大戦を経て、アメリカは戦後の豊かな時代とベビーブームを迎え、一般市民にも活気があふれていました。そんな時代に作られていたファイヤーキングだからこそ、豊かで明るい時代の雰囲気が反映され、ハッピーな色使いや大胆なデザインのものがたくさん生まれました。厚手でぽってりとした丸みのあるフォルム、やわらかな独特の色合い、数々の楽しいプリント。豊かな時代のアメリカを支えたファイヤーキングは、まさに素晴らしきアメリカン・ヴィンテージです。
ファイヤーキングの魅力
ほかにもファイヤーキングには、数々の楽しいプリント、豊富な種類の中からコレクションする楽しさ、現在では製造されていない一期一会の魅力…など、魅力を挙げればきりがありませんが、何よりもファイヤーキングは気取らずに日常で使えるヴィンテージ食器。ぜひ一度使ってみてください。きっと毎日の生活が楽しく変わるはずです。
ファイヤーキングの歴史
アメリカのばら色時代に生まれた「ファイヤーキング」
ベビーブームや経済成長に沸き、未来へ向かって明るいムードに包まれていた時代に誕生した、安くて丈夫なファイヤーキング。オーブン調理もできるとあって、家庭でもレストランなどでも瞬く間に愛用されることになりました。- 1905年
ホッキンググラス社を創設
ガラスメーカーの装飾部門で働いていたアイザック・J・コリンズ氏が、仲間6人とオハイオ州ランカスターに「ホッキンググラス社」を設立しました。この社名は近くに流れる小さな川「ホッキングリバー」から付けられています。 - 1924年
製造工場の焼失
「ブラックキャット」と呼ばれたホッキンググラス社のひとつの工場が火災により全焼。しかし逆境を乗り越えて半年後には工場を再建しました。 - 1929年
大恐慌時代
当時では画期的な最新鋭の機械を導入し、生産力を飛躍的にアップさせることに成功しました。このおかげで世界的経済危機も乗り切ることができました。 - 1937年
アンカーホッキンググラス社の誕生
ニューヨーク・ニュージャージー・ペンシルバニアに工場を持つガラスメーカー数社と合併し、社名を「アンカーホッキンググラス社」へ変更しました。おなじみの錨マークにHが付いたロゴが誕生したのもこの時です。この合併により耐熱強化ガラスの製造が可能になりました。 - 1941年
ファイヤーキングの誕生
オーブン耐熱ガラスブランド「ファイヤーキング」が誕生しました。第二次世界大戦の最中で一時売り上げが低迷したものの、アメリカはベビーブームや経済成長の真っ只中。安価で丈夫なファイヤーキングは瞬く間にアメリカの一般家庭に広がりました。ちなみにファイヤーキングが誕生した1941年に発売された製品は「サファイヤブルー」と「バブル」シリーズです。 - 1950〜60年代
ファイヤーキング全盛期
さまざまなシリーズやプリントもの、アドバタイジングと呼ばれる企業広告ものなどが大量に生産・販売されました。その製造数はマグカップだけでも年間100万個以上、型の種類は軽く1000個を超えました。
- 1969年
アンカーホッキングに社名を変更
プラスチックメーカーと合併し、新しい分野に参入した同社は「アンカーホッキング」に社名を変更しました。 - 1976年
ファイヤーキングロゴの刻印が終了
ブランドは続いていたものの、直火にかけられるという誤解を招くとして、ファイヤーキングのロゴが消え、シンプルな錨のデザインに変更されました。 - 1986年
ミルクガラスの生産終了
高コストで手間のかかるミルクガラスの生産が、ウエストバージニア工場の閉鎖とともに終了しました。いわゆる「ヴィンテージ・ファイヤーキング」とはミルクガラスで作られた1986年までのものを指します。 - 2000年
「ファイヤーキング 2000」シリーズが発売
ファイヤーキングの生誕60周年を記念して、アンカーホッキング社から復刻版「ファイヤーキング 2000」シリーズが発売されました。ジェダイのマグ・ボウル・プレートなどがブラジルの工場で製造され、オリジナルより大きく重いのが特徴です。 - 現在
ファイヤーキングの今
今でもファイヤーキングブランドは、ヨーロッパ向けを中心に一部のクリアガラス製品が作られています。また2011年には、アンカーホッキング社協力のもと、日本で「ファイヤーキングジャパン社」が設立され、当時の製法を再現した日本製の「Fire-King Heritage」シリーズが作られています。
当時の広告
ファイヤーキングの刻印
刻印から作られたおおよその年代が分かります
ファイヤーキングのほとんどの食器の裏には刻印(バックスタンプ)が見つかります。製造年代によってロゴやデザインが少しずつ違うので、バックスタンプを見ればいつ頃のものか分かります。下記にご紹介するもの以外にも様々な種類があり、中にはバックスタンプのないシリーズも存在します。
1940年代
ブロックレターという書体でデザインされたファイヤーキングブランド最初の刻印。わずかな期間しか使われていなかったレアなものです。
1940年代〜50年代初期
ファイヤーキングの文字がおなじみのロゴマークになりました。
1940年代〜50年代初期
ファイヤーキングのロゴマークの下に「OVEN GLASS」の文字。初期のプレートやボウルなどに見られます。
1950年代
「GLASS」から「WARE」に変わりました。レストランウェアシリーズに多く見られます。
1950年代中期〜60年代初期
グローバル展開がスタートし、MADE IN U.S.A.を表記。Dハンドルマグに多いバックスタンプです。
1960年代
「OVEN」の文字が消え、社名の「ANCHOR HOCKING」とアンカーマークが追加されました。
1960年代〜70年代中期
「DINNER WARE」が特徴の刻印。シェルシリーズなどで見られます。
1960年代中期〜70年代中期
ファイヤーキングロゴが消え、「HEAT RESISTANT」を表記。こちらもシェルシリーズで見られます。
1960年代中期〜76年
耐熱表示の「OVEN-PROOF」が追加されました。スタッキングのプリントマグなどに多く見られます。
1977年〜86年
ブランドは続いていたものの、直火にかけられるという誤解を招くとして、ファイヤーキングのロゴが消え、シンプルな錨のデザインに変更されました。
ミルクガラス製品について
不良品?いいえこれも持ち味です
1940〜80年代に製造されたファイヤーキングなどのミルクガラス製品は、下記のような一見ダメージに見える箇所も見られます。ただしこれは製造工程でできてしまうミルクガラス製品の特性です。当時のアメリカらしい「大量に作って安く売る」という価値観を感じさせる、ひとつの歴史。これも持ち味だと思って、おおらかに受け止めていただければと思います。












